建て主が見るだけで工事不良やミスがわかる写真と解説
~住宅工事中の12項目のチェック~
左・下の2枚の写真は築20年余りですが、もっと早くにこの状態になっていたことは、明らかです。
これは新築時の工事ミスによるものですが、このような工事ミスは気づかないだけで非常に多く、最近の住宅ではさらに増えるということを知って頂きたいのです。
完成時の見映えや見かけ上の構造面の強さは意識しても、耐久性を疎かにしてきたため、職人も業者も正しい工事方法を知らない場合が多いのです。
日本の住宅の寿命が欧米の半分以下というのは、構造面ではなく、耐久性に対する考え方がいい加減なためです。
しかも耐久性を伸ばすには決して、費用が余分に掛かる訳ではなく、正しく工事を行うだけで済むのです。多くの現場監督でさえ知らず、指摘しない、できない状態です。
大切な住宅の寿命を伸ばすために、新築時にはご自身のチェックが必要です。
そのために、この内容を公開します。
ミタス 一級建築士事務所
清水 煬二
目次
冊子の製作 別の形で内容をお知らせします
「建て主が見るだけで工事不良がわかる写真と解説」
~住宅工事中の12項目のチェック~
「こうすれば100倍得する!新築・リフォームの賢い対応術!」
「一級建築士が警告!住宅はここが危ない!」
「建て主が見るだけで工事不良がわかる写真と解説」について
~住宅工事中の12項目のチェック~
このたび、改訂を5回繰り返してきた
「建て主が見るだけで工事ミスがわかる写真と解説」の完成版作成は冊子の作成を再検討し、ビデオ・一般書籍での出版を含め、別の形での公開とすることに致しました。
お急ぎの方は、パスワードをメールで請求して写真と解説だけでもご覧下さい。
もともと、住宅の寿命を左右する工事不良が無知や手抜きであまりに多発しているため、素人がわかる
内容に絞り執筆したものです。
建て主でなければ指摘できないた内容が多く、好評だったため公開および再度印刷する予定でしたが、費用が掛かることと、月刊誌での掲載、セミナービデオの検討、一般での出版など幅広く再検討することに致しました。
「一級建築士が警告!住宅はここが危ない!」
セミナー録中心の理解しやすい
「こうすれば100倍得する!新築・リフォームの賢い対応術!」
の内容についても同様です。
新築を考えている方、新築の契約をされようとしている方、建て売りや建築条件付を購入される方、既に工事中の方、入居後の方、リフォームを考えている方に役立つ、ぜひ読んで頂きたい内容ですが、効果的な発信方法を検討中です。
一般に流通している書籍と異なり、一般素人向けに具体的なノウハウを公開したものでした。
筆者は、設計だけでなく、現場監理の実務や職人との交流も多く、机上の理論と実際の現場の違いを
理解した上で指導しており、住宅評論家や現場を良く知らない建築家、現場の間違った知識を正しいと思い込んでいる住宅技術者、ハウスメーカーの営業マンには書けない内容が多くいずれ公開する予定です。
現在提供できる資料など
月刊ハウジング (リクルート社) 2002年 8月号 バックナンバーを出版社に請求してください。
建て主にわかる工事中の欠陥を防ぐ特集の写真と解説を寄稿しています。
「我が家を手に入れる前に読むQ&A」建築よろず相談解説委員編 出版社は山海堂 です。
素晴らしいメンバーたちの力作です。アマゾンでも簡単に購入できます。
「失敗しない住宅リフォームセミナー」横浜市建築事務所協会50周年記念事業で行ったセミナー録で横浜市に共催して頂きました。ミタス一級建築士事務所の所長が、リフォームの問題点と対策、提案のみならず、現在の新築の耐久性のなどの問題点や正しい方法などの解説をわかりやすく行っています。
ビデオ(約60分)に収録したものを、ご希望の方に数量限定でお分けします。
ご希望の方は、メールでご連絡下さい。
基礎の防湿シート
基礎部分で地盤からの湿気を防ぐために、写真のように防湿フィルムを敷く。
湿気は家のためにも健康のためにも良くない。
写真では、既に下からの湿気が水滴となり、シートは真っ白になっている。
ここまでは、大体やってくれるが、隙間なく破れなく 敷いてくれているかどうかが問題。
写真のように破れていてもまず、補修してくれない。
これがキッチリできていないと、その他の工事もいい加減に行う可能性は高い。
布基礎の場合は、防湿シートに乾いた砂で押えるのがベターだが、なければ
湿気の多い場合は他の対策が必要となる。
基礎配筋
基礎の鉄筋でみなさんに見て頂きたいのは、最低2つあります。
1つ目は、鉄筋と地盤との間にコンクリートのサイコロのようなもので、鉄筋を上に持ち上げますが、これがあるのかということと、その大きさです。
他の材料で持ち上げていることもあります。
大切なのは、この大きさが6センチ必要ということを知っておいて下さい。現場では、4センチや5センチが使われていることも多いからです。
これが、なぜ大切かと言うと、鉄筋が早く錆びてしまい、鉄筋コンクリートの耐久性に影響するからです。
この大きさまでは、第三者の検査でも測らない場合が多いのです。
2つ目は、基礎の角部分の補強鉄筋です。
基礎の出隅部分は、地震時などに力が大きく加わります。そのため鉄筋の補強が必要です。
皆さんに見て頂きたいのは、基礎の角部分の鉄筋が全て2重になっているかどうかです。
この方法も3種類ほどありますが、とにかく全ての鉄筋が角で2重になっているかどうか確認して下さい。
鉄筋の太さ、重ね合わせの長さ、間隔のチェックも必要ですし、床下換気口の補強筋のチェックも必要ですが、
ここでは省略します。みなさんは、上記の2点を必ず自分の目で確かめましょう。
ここができていないようでは、かなり問題で、他の工事も危ないでしょう。
基礎コンクリート
基礎コンクリートの打設の方法が悪く、コンクリートのペーストが全体に廻らなかった「ジャンカ」と呼ばれる例です。
余程ひどければ強度があてにできず、補修ではなく打ち直ししなければなりませんが、そうでなくても早く補修をして頂きたいのです。
雨が降ればコンクリートの中へ染み込み、鉄筋を錆びさせてしまうからです。
鉄筋コンクリートの強度はもちろん、耐久性も同じように大切にして欲しいのです。
土台とアンカーボルト
アンカーボルトがない現場はないと思う。
その長さや、径、本数と設置場所のチェックも必要だが、皆さんには、そのアンカーボルトが土台の継ぎ手(接続)部分にはないことをすべてのアンカーボルトを見て確認して欲しい。
この部分にあると、力が加わると弱い継ぎ手部分が折れてしまい土台と基礎の役割がなくなる恐れがあるからだ。
私の検査経験では、工務店クラスや中小ハウスメーカーではこのようなことは職人任せで、現場監督のチェックも事前指導もない。当然、このようなことが起こってしまうのだ。
これがあるということは、現場監督の指導や知識は期待できず、単に工事の段取り屋さんということになってしまっていると理解できる。
設計事務所が設計監理していても、こういったことを事前チェックもしなければ、指導もしていないケースがあるが、残念なことだ。意匠やデザインだけでなく、良質な施工で耐久性のある家造りに何が必要か、勉強して欲しい
ホールダウン金物
ホールダウン金物が建築基準法の改正により必要になった。
現在の木造軸組み住宅には、原則的にあるのが普通と知っておいて欲しい。
これは、地震時の柱の引抜による倒壊を防ぐためには大変効果的なのだが、同時に2つの大きな問題を残している。
1つは、正しく取り付けができないとか、筋かいを欠いてしまう直接的な構造上の問題でこれは大きな問題ですが、工事途中にチェックは可能です。また、指摘すれば、業者も職人も納得できるミスです。
もう1つは、誰も指摘しないが、ホールダウン金物の結露が重要な柱や筋かいを腐敗させてしまうという問題の可能性を抱えていることである。
しかもこれは、10年後20年後でなければ発覚しないから問題で、私が強く警告していることなのです。この点は、ここでの詳細は避けます。
筋かい金物
金物についても専門的で難しいチェックは要求しません。
皆さんに行って欲しいのは、第三者機関の検査でも公庫の検査でも業者の自主検査でも見逃されてしまうことで、重要な内容のうち、簡単にチェックできるものに絞っています。
さて、写真は筋かいの金物ですが、この金物は重要です。
地震時に正しく筋かいが機能してくれるかどうかを左右します。
①このような金物が、全ての筋違いの両端についているかを見て下さい。
何箇所か忘れていることも珍しくはありません。特に、工期などが遅れ気味の現場ほど要注意です。
②次に必要なネジがすべてついているかどうかを見て下さい。
写真は、必要な木ネジがほとんど留められていません。このチェックができるのは、あなただけです。
現場監督も他の検査でも ここまでは指摘しません。何箇所かの筋かいがこのような状態にあると全部はチェックしないため、わからないのが現状です。この現場では、サッシが既に付き始めているのにまだこの状態でした。
本来は、当然付け終わっているべき状態です。
柱頭・柱脚金物
次は柱の金物です。柱の下部と上部の両方を見て下さい。
何らかの金物がついていますか?全ての柱にです。
建築基準法の改正でも、すべて必要であるとはなりませんでしたが、通常では必要です。工務店クラスでは、柱によっては付いていないケースが珍しくありません。金物の種類も決まっていますが、皆さんではその判別までは難しいので、柱の上下ともに付いていることかは確認して下さい。
1階は柱と土台、柱と梁や胴差し(胴差しとは梁と同じと思ってよい) 2階は上下とも柱と梁だと思って下さい。
梁は、わかりますね。柱の上下につながっている水平になっている構造材です。
この金物がところどころ抜けているようでは、業者のレベルは疑問と言えます。
柱の金物の種類はもちろん、その他構造面のチェックすることはたくさんありますが、ここではすべて省略します。
防水シート
防水シート(外壁下の白いシート)は雨漏れや染み込みを防ぐために重要な役割を果たします。この点について、間違いや誤解が多いのが現実です。
モルタルなどの場合は、黒い防水紙に網を張ってモルタルを塗りますが、基本的には注意事項は同じだと思って下さい。
いずれにしろ、これがいい加減ですと雨が染み込み構造体を長い間に必ず腐らせてしまします。しかも住んでいる人にも気づかないケースも多いため業者や職人は軽視しています。
写真は、配管や配線などが飛び出す部分について、破れたままで外壁材を張っていくケースがかなり多いのです。あなたも必ずチェックして下さい。
住宅の寿命を半減させる3大不良のひとつだと思って下さい。重要です。
この他にも防水シートはバルコニー手摺部分など重要なチェック事項がありますが、これだけは最優先でチェックして下さい。
外壁通気工法
外壁通気工法は、内部結露での被害を防ぐために重要な役割を果たしてくれるが正しい通気工法になっていない場合も珍しくない。外壁の中は、必ず内部結露すると思って頂きたい。
後は、その度合いであり、内部結露をしても乾燥するかどうかが問題になる。これがいつまでたっても乾燥しない状態が続くなら、腐朽菌が必ず、柱や土台、筋かいを腐らせていくと思って欲しい。
通気層を確保するために外壁にタテに桟木を45センチごとに打ち付ける。この桟木の厚さが12ミリといった薄すぎるものやサッシ廻り、軒裏との取り合いの取り付け方の間違いが多い。
皆さんは、軒下の部分を見て、本当に空気が循環するようになっているかを見て欲しい。
本来は、軒裏に隙間ができて小屋裏に空気が入って、小屋裏の換気口から出で行くようになっている。
これができていないと、通気工法の意味がわかっていないので、桟木の厚さも、サッシ廻りの施工方法もほぼ間違っている。外壁がモルタルの場合は、この通気工法はクラックの問題で、残念ながらなされていないことが多い。
断熱材と防湿フィルム
下の写真が、なぜ間違っているのかわからない職人や現場監督がほとんどである。
断熱材の間違いが多い。断熱材は入っているが、防湿紙の間違いが圧倒的だ。
外壁の内部結露を最小限にして、構造体の腐れを防ぐには、湿気(水蒸気)が壁の中に入っていくのをできるだけ防ぐ必要がある。
そのために、断熱材には防湿紙がついているが、この取り付け方法が間違っていたり、細かい部分の施工方法を知らないか面倒で行っていない。
気密性が高くなった最近の住宅では、2×4工法を日本に輸入した当時にこの内部結露の被害で社会問題になったように、いずれ在来工法でも問題になると警告しておく。
もうすでに、その現象は生じており、あとは発覚するかどうかの状態となっている。
私が、強く訴えたいのが、次の①~③の耐久性にかかわる大きな問題と構造面の誤った施工である。
①防水シートや雨仕舞の施工不良による雨の染み込みと雨漏れ
②断熱材の防湿紙または、防湿フィルムの工事不良による内部結露
③床下からの湿気対策と白蟻対策
構造面の問題は、専門的になるだけでなく広範囲に内容がわたり、素人では判断が難しくなるので、その多くの内容には触れていない。
しかし、前者の①~③の内容は、業界や業者、現場監督、職人も知らなかったり正しい知識を持っていないケースが多く、皆さんが指摘しない限り間違ったままで完成、引渡しされてしまうのだ。
日本の住宅の寿命と欧米の寿命がなぜ違うかを考えて欲しい。
2×4工法でも日本での寿命は短い。気候の違いではない。住宅に対する考え方と施工の姿勢が違うのだ。特別な知識や費用はいらない。正しい方法は既に示されているが、それを一流のハウス
メーカークラスでも、必ずしも現場で正しく行っていないということだ。
10年保証が付いていようと、第三者機関の検査がついていようと笑ってしまうくらいお粗末である。
さて、この断熱材の施工の間違いは実に多いので、住宅の寿命を伸ばしたければ必ずチェックして欲しい。上の写真はみんな間違っている。
外壁合板と釘
2×4工法はこのチェックを是非行って欲しい。
ここを見れば、構造面で大工が安心できるレベルかどうかがすぐわかる。
また、現場監督が役に立っているかどうか、業者が、現場管理を行っているかどうかも含めてすぐわかる便利な物差しだ。
皆さんは、外壁の合板の釘をよく見ることだ。特に合板の継ぎ目に打ってある釘を見る。
ここに10センチ以内ごとに釘をうってあるかどうかは当然のレベルでこの数字は簡単なので覚えておいて欲しい。そして、
①釘の頭がめり込みすぎていないか?
②釘が合板の間に打ち込まれていないか?その打ち直しはしているか?
を見る。
①は、理想は合板の表面と釘の頭が同じ位置にあり平らの状態だが、2×4工法の合板は針葉樹合板で柔らかく、その下の枠材も固さが均一ではない。そのため、ほとんどの現場でめり込んでおり、全ての釘が理想どおり打たれているのを見たことがない。
これを行うには手で金槌を持って打つしかない。2×4工法では、機械で打っているため多少はめり込んでも目をつぶることになる。私の経験では、だいたいめり込み深さが平均で1ミリならいい方である。
ところが、ほとんどの釘が3ミリ位めり込んでいるというのは、ちょっと問題だ。職人にも現場監督にも、業者としての姿勢も疑問だ。9ミリの構造用合板で、3ミリ釘がめり込むと耐力が半分に落ちると実験をもとに警告されている人もいる。
早めにこれをチェックして、直ちに釘打ち機械の圧力の調整をしてもらうことが、あなたの家を強くする。
これができていない2×4工法も業者は、問題が他の部分でも出てくると思ってよい。
②は、合板と合板の継ぎ目に釘を打っても意味がないので、打ち直しをすべきだが、それがなされていない場合も多い。その釘がダメだとすると、釘と釘の間隔は単純に20センチ空くことになり、耐力不足ということになる。
その他、合板から打った釘が枠を外れた場合など皆さんにチェックできる項目はあるが、他は省略するので、上記だけは自分の目でチェックして頂きたい。
ボルトとナット
鉄骨系のポイントは、
① 鉄は錆に弱い。
② 住宅の鉄骨系プレハブは、ボルト締めで耐力を出す。
ということだ。
①の錆は、現場で溶接が発生したりする場合に注意が必要だが、住宅のプレハブ系では現場溶接はあまりない。②のボルト締めは、これを締め忘れていると、2×4工法で釘や金物が不充分なのと同じだ。
ところが、この締め忘れが問題になる。仮締めでセットしておき、全体を組んで調整をしてから本締めするからだが本数が多く、仮締めかどうか見てすぐわからない場合も多いからだ。
メーカーによっては、シールをつける、印をつけるなどの工夫をしているが完全ではない。
皆さんがまさか、ボルトを締めていくことはできないので、写真のように見てすぐわかるものだけでも、見れるなら見て欲しい。ただし、現場は危ないので、内部に入ることはあまりお勧めできない。