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更新年月日:2024年3月1日

中越地震と解説

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新潟・中越地震について

中越地震直後の平成16年11月17日に主に小千谷地区に行ってきました。

越後湯沢から高速バスで長岡へ行き、そこからタクシーをチャーターして小千谷に入りました。阪神大震災のことを考えると被害は少なくて少し安心しました。


今回の中越地震で、私自身は小千谷地区だけを見たのですが、他の地区の報告レポートに指摘されている点や理論的に考えられる点と私が見た実際の現象とに、ある点で差があり、その理由は何なのか確定できず不思議に思っていることもあります。


倒れた家や家の内部を資料的には写真に撮りたいものはたくさんありましたが、片づけをしている最中の家や住んでいる方がいらっしゃる場合は、申し訳なくて写真には撮れませんでした。


いずれにしろ阪神大震災以降私が指摘し続けている、筋かいがあっても力が集中し過ぎて(構造的に無理があって)倒壊しているもの、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造でも被害にあっているものは、建築基準法上の構造計算上は大丈夫でも、やはり構造的に無理をしているため危険です。


これは、現在の新築やリフォームに反映されるべきですが、残念ながら建て主の意向に迎合し過ぎて、または意匠や見映えにこだわり過ぎて今でも無視されているケースが多過ぎるのが、残念でなりません。


現場写真

1階が崩れるパターンがほとんどです

※画像をクリックしたら拡大します


完全に崩れている家でも、1階の変形が大きくなり1階が倒壊して2階が上から落ちてきてその衝撃で2階も完全に崩れてしまうのです。ですから設計段階で1階の構造計画が大切ですが、2階とのつながりで考えていかなければ、これをクリアーできません 私の設計でリビングを2階をもって来ることを1度は提案して検討して頂くのも、この構造面の有利・不利を考えてのことです。かなり無理をしている設計を現在でもよく見ます。1階にリビングの場合は、2階の耐力壁の配置と強さ、1階の耐力壁との位置関係、すなわちどうやって2階の地震力を基礎に伝えていくかを慎重に検討しなければなりません。それができていないため、建築基準法ではOKでも、たとえ性能表示で構造3等級でも安心できないのです。これらの検討は、通常なされていないのが残念です。

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筋かいは、しっかりしたものが入っていますが、集中した力を受け過ぎて柱の接合部が破壊されています。このことが実は木構造では一番重要な要素ですが、設計上は軽視されています。非常に強い耐力壁を設置する場合は、少なくとも外壁側でなく、内壁にすべきです。

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地盤も地割れしていました 地盤が弱いと揺れが大きくなります 新築もリフォームも必ず地盤の強度は確かめるべきです。

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※画像をクリックしたら拡大します


すぐそばに川が流れていました。土留めは崩れています。

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この家は、構造的にも中がぐちゃぐちゃでいつ倒壊するかわからず、もう完全に住めません 

和風のしっかりした感じの豪邸でした。


家の内部は、数人で片づけをされていましたので、撮影はしませんでした。


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これは別の家ですが、だいたいこうなっています 壁のない柱が接合部で破壊しています。木造は、ただ強くすればいいのではなく、上下左右のバランスと接合部の配慮が必要です。正式の詳細な構造計算でも木造は接合部の強度は全く不明のままです。アナログ的な正しい考え方が必要だと言っているのはこういうことです。

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重量鉄骨でも、大きく力が加わる部分がやられます 計算上は成り立ってもダメなものはダメ 

もっとアナログ的な構造計画と工事監理が必要です。

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この建物もやられていました

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鉄筋コンクリートの壁も上から下まで完全に破断していました

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これは倉庫で地震には有利な軽い建物でしょうが、やはり1階がやられ 筋かいの壁が剥がれています。1階の間口に壁が無く地震に弱い住宅になっています 建売では、良くあるパターンで玄関と掃き出し窓が付いていて1階の道路面に壁が無いというケースです。


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1階が高基礎の家は、小千谷地区では新旧問わず、なぜか倒壊していなかったのですが、他の地区は基礎と1階の接合部分で被害を受けているようです。これは、コンクリートと木造の固さの違いによるものが原因とされています。地下室付きの住宅の場合、普段の2階建てと異なり、在来軸組工法よりも2×4工法で外壁を2×6の部材を使うことをお薦めしているのはこのためです。


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これはかなり古くて構造的にも非常に不利、普通に考えれば倒壊しているはずですが、

意外にも被害は最小限でした。


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